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世界中があの大戦を過去のものとし始めた頃、冷戦真っ只中のアメリカとソビエトは、その覇権争いの火種をアジアの小国に求めた。
――ベトナム戦争――
その最中、世界をまたに架けてその名を轟かす一団があった。怪盗ロワイヤル。武器の横流しで私腹を肥やす武器商人や非道なギャングらを相手に、鮮やかな手口で盗みを働く。その神出鬼没な姿を見た者は誰もなく、噂が噂を呼んで悪党は毎日ピリピリしながら過ごす他はない。
まさに神業とも言えるその組織を束ねる男の名はキング。敬意を評して仲間はそう呼んだ。若干三十そこそこにして頭脳明晰、変装の名人、豪腕を誇る。彼に掛かれば盗めない宝などこの世に存在しないとさえ言われた。
そんな彼が唯一恐れを抱く存在……キングの師であり、その盗みの技術全てを叩き込んだ男。キングが考え方の相違から彼と別つまで常に共にいた。それがスカルだ。
スカルそのものは大戦前から常に第一線で活躍していたが、彼には後継者がいなかった。そんなスカルが唯一、後継者にと目を掛けていたのがキングだ。キングの裏切りは彼の盗みのスタイルさえ一変させるほどの衝撃を与えた。今になって思えば、キングが彼を変えたと言っても過言ではない。
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