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名前はケリー・ギルバート。
まさかここで養父母の名前を用いる事になるとは思わなかったが、貧しかった養父母も古くはブラジル系移民の血を継いでいる。
この状況下で躊躇っている余裕はない。使える物は親でも使う。
あの二人が、今どこでどうしているのか、知った事ではない。まさか義理の息子が世界を賑わす怪盗になっているとは、想像もしていないだろう。あの二人に関わるのもこれで最後だ。
弔問団の乗る飛行機の中で、キングは幼い日の自分を思い出していた。
そもそもあの両親に育てられなければ、今の自分はない。
あの日、家を飛び出さなければスカルと出会う事もなかった。
当然、あの石に関わる事も。
ここは感謝すべきなんだろう……貧しさ故に決して探す事をしなかった養父母に。
キングは初めて、『G』と言う名にちょっぴり誇りを持った。
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