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古の都の伝説
ある日、エジプトの考古学者が不思議な石を堀当てたとの情報が入った。
同時に掘り出された文献も、破損が酷くて全てが解明出来ていないらしい。エジプトの王家に纏わる文献も、粗方解明されてはいるが、今回の文献はそのどれとも内容が異なっていた。それだけに破損箇所がネックとなって解明を困難にさせている。
キングとて古代ヒエラティック文字に精通しているわけではない。だが、この石が、もしルシフェルストーンだとしたら、スカルよりも早く出し抜かなければならない。
この際、文献の解明よりも石の真偽を確かめる方が先だ。それにもしスカルに出し抜かれでもすれば、解明はおろか文献すら永遠に失われるだろう。
キングは大統領に連絡を取ると、エジプト政府に考古学者の保護を願い出た。自分が到着するまででいい。これはスカルが学者に辿り着くまでの時間稼ぎに過ぎない。スカルの技能の高さは他の誰よりも知っている。それが極短時間である事も承知の上だ。
キングがケネディ空港を飛び立ち、カイロ国際空港に降りたのは、その発見の報道がなされた翌日の夕方だった。
既に現地の駐在員からいくばくかの情報は得ていたが、キングが首都カイロに入ったのはこれが初めてだった。
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