記憶

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「それでよ、イタリアのボスからビックニュースだぜ!」 「……何ですか」 どうせまたろくなことでは無いのだろう。 アルゼンテは嬉しそうに言った。 「ボスが俺達をイタリアに呼んでるぜ!」 ヤッホイ!とジャンプするアルゼンテ。 あだ名の通り、アルゼンテ(燃えるよう)な奴なのだ。 「イタリア、ですか」 眼鏡をクイッと上げる。 「しかし何故です?」 「なんでもな、イタリアのある町ででっけぇ宝を狙ってるんだと。でもターゲットの守りが案外堅くて難航してるらしい。そこで俺達に協力要請がきたんだ」 「……増援なら、イタリア内部から出せば良いのでは」 「まぁそうなんだけどさ、俺達のイタリア本部での経験も兼ねてみたいな?俺はともかく、お前ボスに気に入られてるし。これだからかわい子ちゃんわー」 やだわーとか言いながらジッリョの頭をゴシゴシ撫でるアルゼンテ。 気に入られてる……か。 ジッリョはただの下っぱにしては確かに良い扱いを受けていた。 衣食住には不自由しないし、抗争で前線に立たされることも無い。 しかし、ジッリョはボスが好きではなかった。 (あの汚らわしい……人殺し女) 彼女のすること全てに、嫌悪感を覚える。
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