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バサバサ!
「!!」
鳥が羽ばたく音にも怯えてしまう。
あたりはもう真っ暗だった。
暗闇には慣れているはずだったが、こんな心細いのは久しぶりだ。
(あの時以来……貨物船に隠れて、イタリアに来た時以来の寂しさね)
孤児院が襲われてしばらくは、イギリスの町をさまよっていた。
そこでローザを気に入った貿易商の社長に拾われ育てられた。
何1つ不自由無い暮らし。
養父はローザを可愛がってくれて本当に良い人だった。
しかし養子になって3年がたったころ、養父が亡くなった。
そして養父の実の子や妻に疎まれたローザは行き場を無くし、イタリア行きの貨物船に乗り込んだ。
国を出れば何か新しいことが起こるような気がしたのだ。
来た当初、1人に慣れない間は本当に寂しい思いをした。
しかしその寂しさを乗り越えたからこそ、今の強さがあるのだ。そうローザは思っている。
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