到着

6/19
前へ
/160ページ
次へ
「やっとたどり着いたわ!」 ローザはすぐそこの町の灯りを見て歓声をあげた。 「何よこの地図、役たたずだったじゃない!」 自分が地図を読み間違ったと思うのは、プライドが許さない。 それに手書きの地図が読みにくかったのは確かだ。 「やっと着いたわ……」 ローザは残りの道を一気に駆け上がった。 しかし、町の周りを警備してる男達に気がつき足を止める。 男達は何やらせわしなく動いていた。 「侵入者は見つかったか!」 「いや、まだだ……まったくこんな時にいい迷惑だ」 誰か町に侵入した奴がいるらしい。 (ちょうどいいわ、この混乱に乗じて中に入りましょう) ローザは物陰に隠れ、機会を伺った。 (よし、今よ――) 音を立てずに駆け出す。 しかし、ローザに待ったをかける者がいた。 「待ちなさいお嬢さん!」 警官と思われる男が、ローザに銃を向けた。 そんなにうまくはいかないというわけだ。 「どうしても町に入りたいの。見逃して?」 ローザの上目遣いにも動じず、警官は首を横に振った。 「ダメです。僕はただでさえさっき1人通してしまってるんですから……」 なるほど、騒ぎはこの男の失態か。 「じゃ、しょうがないわね」 「は?」 ローザは麻酔銃を警官に向けた。 「え、あ……待っ」 パンッ! ローザはためらいなく、麻酔銃を警官に打ち込んだ。
/160ページ

最初のコメントを投稿しよう!

273人が本棚に入れています
本棚に追加