到着

10/19
前へ
/160ページ
次へ
アルゼンテは、鼻歌を歌いながら船内をスキップした。 「カーロ・ミオ・ベェエエン!」 ついあの名曲を口ずさむ。 しかし、ある一角で足をとめた。 「……だぜ?」 何やら話し声が聞こえる。 先輩か?噂話でもしているのだろうか。 「オイオイ……それマジ?」 「そうそう、何だってあいつはボスのお気に入りだからなぁ」 お気に入り……ジッリョのことか? 「でもまだ若いだろ」 「若さなんて関係ねぇ、綺麗な顔してるからそれでいいんだろ」 「ボスの面くいっぷりも困ったもんだ」 「まったくだ。あんなのを側近になんて」 「じゃ、アイツはこのままイタリアの本部に置いとくのか」 「側近なんだからそうなんだろ」 「あ、そうそう。ところで……」 ジッリョが、ボスの側近? その後の会話は、もうアルゼンテの耳に届いていなかった。
/160ページ

最初のコメントを投稿しよう!

273人が本棚に入れています
本棚に追加