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一方、イタリアでは。
「くっそ……どこだよローザ」
アレックスは全力で町を駆けた。
町の住人はすでに避難したらしく、聞こえる音は銃声ばかりだ。
「……ったく」
危険だが、高いところに登った方が早いかもしれない。
アレックスは町の時計台に向かって走り、階段を駆け上がった。
時計台からは、町全体がよく見渡せる。
いつもならのどかな町の景色が見えるのかもしれないが……。
「酷いな……」
町の建物は所々破壊され、今まさに燃えているものまである。
アレックスはあるものに気がついた。
「ありゃ何だ?」
海辺に、大きな船が近づいてきている。
こんな時に船?
警察か?マフィアか?
どちらにしても怪盗のアレックスにとって嬉しい相手ではない。
「早くローザを探さないとな……」
そう思うものの、必死で探しまわるという方法しか思いつかない自分がもどかしい。
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