到着

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「ローザ、こっちだ!」 自分の名前を呼ぶ声に、ローザは驚いて声のほうを向いた。 「……誰?」 暗くて顔がよく見えない。 声の主が、民家の壁をつたいものすごい勢いでこちらに登ってくるのがわかる。 ローザは本能的に身構えた。 「ローザ!」 男の顔を見て、ローザは驚いた。 「あなた、確かライル……」 「そうだ、俺だ」 男は安心するようにため息をついた。 「何故ここに。あなた何者?」 警戒して銃を取りだすローザ。 アレックスは、手を上げて自分に攻撃する気が無いことをあらわした。 「俺はアンタを助けにきたんだ、姫さん」 姫さん、という言葉にローザが反応する。 その言葉は、その呼び方は。 「ライル……あなた、何者?本当のことを言って」 「本当のことって?」 アレックスの視線が、泳ぐ。 「……あなたは似てるわ。私の大好きな人に」 ローザは真っ直ぐにアレックスの瞳を見つめた。 アレックスは目をそらした。嘘が下手くそだ。あの人と、同じように。 「……そりゃ光栄だな」 「ちゃんと答えて!あなたは私の……」 「それより、今はやらなきゃいけないことがあるだろ」 アレックスはローザの言葉を遮った。 「………」 ローザは、渋々銃をおろした。
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