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「ジッリョ、起きろよ!」
「……」
アルゼンテの大声でジッリョは目を覚ました。
「着いたぜ、イタリアだ!」
「もう着いたのですか。貴方は寝なかったんですか?」
「あ、いや。何か寝つけなくてさ……」
不自然に笑うアルゼンテ。いつもの天真爛漫な笑顔とは違う笑顔。
ジッリョは不思議に思って尋ねた。
「アルゼンテ……何かあったんですか」
「は?何かって?」
「あったんですか」
「……ねぇよ」
「いや、ありましたね」
「だから無いって」
「確実にありました」
「無いって言ってるだろうが!」
怒ったように言うアルゼンテ。
やはり何かあったのだろう。彼がこんな風に声を荒げることは滅多に無い。
「……そうですか」
しかし、アルゼンテが詮索して欲しく無いと思ってることを無理に聞き出す気は無い。
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