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しかし次の瞬間のローザの反応は、アレックスの予想から外れたものだった。
「フフフフッ」
ローザは可笑しそうに笑っている。
「…何だよ。何笑ってんだ」
「いえ…血は繋がってなくても、やっぱり兄弟ね」
「…は?」
ローザは笑いながら言った。
「私も今怪盗をやってるの。悪党を懲らしめながらね」
「…ローザが……怪盗?」
アレックスは一瞬呆気にとられた顔をしたが、次の瞬間笑いだした。
「なるほど…やっぱり俺の妹だ。じゃ、俺の心配は杞憂だったってわけか」
「そうね」
二人は顔を見合わせて微笑んだ。
「わかったよローザ……お前はもう一人前の大人だ。一緒に行こう」
万が一何かあっても、絶対に俺が守ってみせる。
ローザは嬉しそうにアレックスの手を握った。
「ええ、もちろんよ兄さん」
ローザとアレックスは目を合わせ頷いた。
「行くぞ、ローザ」
二人は屋根から飛び降り、喧騒の町の闇へと姿を消した。
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