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「よお、じいさん!」
突然現れた人影に老人は目を細めた。
「…ケビンか」
ケビン、と呼ばれた男は焦げた帽子をとってニッと笑った。
「その名前はもうやめたよ。今はウィリアムって名乗ってる。ウィルって呼んでくれ」
おどけたように会釈するウィリアム…いや、情報屋。
「にしても老けたなじいさん…ところでアンタはアレックスについていってあげないのか?」
「その必用は無いんじゃよ」
じいやは微笑んだ。
「アレックスはわしの技の殆どを受け継いだ…あとは、経験だけじゃ」
「へぇ…アレックスは伝説の怪盗Gの後釜ってわけか。にしてはちょっとオツムが足りない気がするがな」
じいやは苦笑いした。
「アレックスは馬鹿ではない。ただ、少し直球すぎるだけじゃ」
「ふぅん、物は言い様ってわけだな」
じいやは咳払いをした。
「で、何のようじゃ」
「いや、それが面白い情報があってな」
情報屋は懐から一枚の写真を取り出した。
じいやはそれを見て目を丸くした。
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