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ズガガガガガ!
夜が明けても、町の銃声が止む気配はなかった。
「ローザ、そこから早く逃げるんだ!」
「わかってるわ!でも今出ていったら見つかっちゃう!!」
アレックスとローザは警察とアイリスファミリーの戦いに巻きこまれないようにしながら、あたりを探っていた。
「ほら、こっちだローザ」
アレックスが伸ばした手にしっかりとローザがつかまる。
「……はぁ、やっと安全な所まで来れたみたいね」
ローザはペタンと座りこんだ。
「凄い戦い…次々に人が死んでたわ」
ローザは目を瞑った。
「どんなに凄い宝物か知らないけれど…沢山の人を死なせてまで守る価値があるものなのかしら」
警察は、何故ここまでして宝物を守りたがるのか?
「お宝は『紅の雫石』というタイトルの見事な硝子細工らしい。とある有名な画家が、人生で一度しか作らなかった硝子細工だとか」
アレックスが情報屋からの情報を思い出したかのように言った。
絵は山ほど描いたらしいが、硝子細工はそれ1つしか制作しなかったらしい。
「…」
しかし、物は物だ。
怪盗は命がけで宝を奪うが、宝が命より大事だとは考えていない。
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