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その頃騒動の町からそれほど離れていない田舎町のホテルで、1人の女が携帯で連絡をとっていた。
「………わかったわ、ありがとう。ええ、報酬は弾むわ」
女は電話を切るとパタンと携帯電話を閉じた。
「………生きてた…」
あの男が、生きていた。
女は初老のシワが刻まれた手を怒りで震わせた。
「怪盗…G…」
何回も、我らがアイリスファミリーの宝を奪っていった男。
その手口は常に巧妙で、ついに一回も宝を取り戻せなかった。
しかし数年前あの男は、あの男の孤児院とあの男の愛した孤児達と共に炎に葬ってやったはずであった。
まさか今だに生きていたなんて…。
そして奴の孤児の生き残りが、今狙ってる紅の雫石の町に居るという情報も入った。
「あの男…また私の邪魔をしようとしているの?」
しかし、そうはさせない。
「ふん…後悔するといい」
あの男の愛する子供達を捕まえなくては。
そしてあの男の目の前で惨殺してやろう。
さぞ、悔しいだろう。
「G…私の今までの屈辱、返してあげるわ」
女…アイリスファミリーのボス、ビアンカは狂気じみた声でそう言った。
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