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ドンッ!
「!?」
鋭い銃声。
次の瞬間先輩の手の携帯電話が砕け、地に落ちた。
「…誰だ!」
先輩が銃を構えた。
一瞬アルゼンテが戻ってきたのだと思ったが、それは違った。
「警察だ!手を挙げて投降しなさい!!」
「………チッよりによってこんな時に…」
相手は四人。こちらは手負いのジッリョと先輩のみ。
先輩は、ジッリョをチラッと見た。
「…先輩、逃げてください」
ジッリョは呟いた。
どうせもう自分は助からない。
しかし先輩は走りだす様子を見せなかった。
「馬鹿!大事なファミリーを見捨てられるか!!」
「………」
不思議な気分だった。
さっきは親友だと思ってた男に殺されかけ、今は名前もわからない先輩がジッリョのために命を懸けてくれている。
「投降しないなら仕方が無い……撃て!」
「させるか!ジッリョ、伏せてろ!!」
先輩がジッリョの前に躍り出る。
バンッ!バンバンッ!!
警官の1人が先輩の銃にあたり倒れこむ。
同時に先輩の体がぐらっと揺れた。
「……ベアトリーチェ」
恋人の名前だろうか。それとも家族の名前だろうか。
その一言を呟いて、先輩はジッリョの目の前に倒れた。
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