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でも俺は、
それに気づかない振りをして
一歩を踏み出す。
まるで何かを振り払うかのように。
そうしないと自分を保つことが
出来なくなってしまいそうで、
とても怖かった。
自宅のマンションに着くと、
部屋の前で誰かが佇んでいるのが見えた。
もしかして、ヤラカシ?
一瞬そんな風に思ったけど
直ぐに違うと気が付いた。
だってそれは、
見間違えるはずもない
愛しい〝彼〟の姿だったから。
その人物が俺に気付きこっちを見る。
「おかえり、赤西」
「うえだ……」
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