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「な、に……?」
真剣に俺の顔を見つめてくる上田が、
何故だかとても怖かった。
全てを見透かされていそうで。
俺は上田から目を逸らす。
「赤西、」
もう一度名前を呼ばれて、
俺の肩がびくっと跳ねた。
「おまえ、病気なんだろ?」
反射的に上田の顔へ視線を戻した。
上田は相変わらず真剣な表情で
俺の目を見つめてくる。
───知られてしまった。
決して知られたくなかったのに。
知られてはいけないのに。
どうして…………。
そんな俺の心を見透かしたように
上田は口を開いた。
「山下から聞いたんだ。
お前が病気で、
死ぬかもしれないって」
そこで上田はふぅと息をつき、
俺の腕から手を離す。
しかし俺は動くことが出来なかった。
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