~4th story~

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「なんで…… 「とりあえずさ、中入れてよ」 赤西の言葉を遮り、 何も言わせないという意味を込めて にっこり微笑んだ。 すると赤西は 渋々といった感じで扉を開けて 中へと俺を招き入れる。 リビングに通されてからは なるべくいつも通りを装った。 コーヒーでいいかと聞く赤西に 紅茶がいいと我が侭を言ってみたり、 人様の家のソファに我が物顔で くつろいでみたり。 そうしてないと 気が変になりそうだった。 しばらくして 一通り話して落ち着いた頃、 紅茶をおかわりしようとしたのか 赤西が立ち上がった。 しかしその瞬間赤西の身体がふらつき、 マグカップが手から滑り落ちた。 咄嗟に支えた体とは別に マグカップは硬いフローリングに落ちて 粉々に割れてしまった。 しばらくその様子を見ていた赤西は、 急に我に返りごめんと言って 俺から離れようとする。 俺はそれを彼の名前を 呼ぶことによって引き留めた。 .
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