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「な、に……?」
赤西の瞳は不安げに揺れている。
その瞳を見て、
これを口にしていいのかと一瞬躊躇った。
山下から話を聞いて、
詳しいことは本人に聞けと言われたから
ここまでやってきた。
けれど不安げに揺れる赤西の瞳を見たら
言葉が喉に詰まってしまう。
けれど────、
『メンバーの内1人でも
知ってるヤツがいたほうがいいじゃん』
『それは上田が
一番わかってるんじゃない?』
先ほどの山下の言葉が
何度もリフレインする。
赤西は……不安なんだ。
どんなに
〝知られたくない〟と思っても
本当は不安で不安で仕方がないんだ。
そう思ったら
自然と言葉を発してた。
「おまえ、病気なんだろ?」
それまで不安げに揺れていた瞳が
驚愕の色に染まって俺を見る。
俺は赤西の腕を掴む手に力を込めて
言葉の続きを口にする。
「山下から聞いたんだ。
お前が病気で、
死ぬかもしれないって」
言葉にしたら急にそれが
〝現実〟だと思い知らされた。
心臓がバクバクして、
上手く息ができない。
赤西の腕を掴む自分の腕にも
少し力が入った。
そんな自分を落ち着かせようと
深く息を吐き出して、
赤西の腕からも手を離した。
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