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「良く似合ってますわ」
「ありがとうございます」
アルピナからの褒め言葉に照れ、はにかんだ微笑みで彼は礼を述べる。
「…一つ、お願いがあるんだ」
「?、何でしょうか?」
そんな時不意にイオスがそう切り出し、話を続けた。
「僕はこの通りハンターだ、常に妹の側に居てあげる事は出来ない…だから君に妹を…アリーを守って欲しいんだ」
「お兄様…」
「…」
それは、寧ろ彼も望む事。
もう、迷いは無い。
「…僕で良いなら、喜んで」
「…ランク…」
「…ありがとう、アリーを…宜しく頼みます」
「…はい!」
そうして時は、今に至る。
「…今となってはあの件も、良い思い出ですわね」
「そうですね」
眼帯の当てられた彼の顔を見て、微笑み交じりに彼女は呟く。
そんな彼と共に過ごすティータイムは、至福以外の何でも無い。
「…ランク」
「…?」
「これからもずっと…私の側に居てね?」
「…この命尽きるまで、そのつもりです」
「ふふっ、ありがとう…さて、仕度をしましょうか?」
「はい」
今日もまた求婚の誘いを断りに行く。
もう彼女には、心に決めた人がいるのだから。
傍らに寄り添う、隻眼の少年と共に歩む足取りは軽い。
「さぁ、行きましょう!」
「はい!」
これからの日々は、毎日が輝いて見える気がする…そう思ってやまない二人だった。
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