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「…」
その笑顔に顔は赤いままだが、つい見とれてしまう彼。
そんな時に病室の扉がノックされ、返事をすると入って来たのは頭防具を外しただけの鎧姿なイオス。
「気が付いたか…調子はどう?」
「あ、は、はい、何とか」
「そっか…まず良かった」
「ありがとうございます、あの方々は…?」
「ガルムさんとDJさんなら先に帰ったよ、君にこれを渡す様にと言ってね」
「…?」
そう言いながらイオスがベッドの掛け布団の上に置いたのは守りの護符と、小さなお守り袋。
「その袋を開けてみて?」
「…」
促されるまま結び目を解き、逆さにするとポトリと鈍く光る小さい何かが手の平に落ちる。
「…これは…!?」
それは一発の銃弾。
まさかと思った彼はイオスに顔を向けると、頷き懐から一丁の拳銃を取り出す。
それはあの時自分を撃った、トニーの拳銃。
「こんなに純金でゴテゴテと装飾されてるから結構重いよ、これだけ重いと発砲した時に反動がかなりあるだろうし…そのせいで弾丸の貫通力が弱まって眼底の骨で止まっていたんだ」
「…!」
「ま、それが助かった理由の五割…残り半分は運だったけどね、そうしたら摘出された弾丸を見て『そう言うのをお守りにしておけば案外ご利益あるもんだぜ?』ってガルムさんが」
「…そうですか…」
話を聞き、再び弾丸に目を落とすとそれを再び袋にしまって口を結ぶ。
そしてそのお守り袋に、守りの護符を巻き付けて首から掛けてみた。
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