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場にしんみりとした空気が漂い始める。
ミラルーツもつい愚痴を漏らし過ぎたかと悟り、話を変えようと口を開こうとしたが先にそうしたのはガルムだった。
「これから何処か行く当てはあんのか?」
「…特に無いがの、まぁフラフラと放浪するのもまた良きかな」
「…何なら、その当てが見付かるまでここに住むってのはどうだ?」
「…!」
そして飛び出した思わぬ発言に、ミラルーツは目を丸くする。
「…責任感って訳じゃねーけどよ、んな寂しい話聞いたら放っとけねぇっつうか…ん~」
「ガルム…」
「…私もそれが良いと思う、何か無理して一人でいようって感じだし…」
「ナヴィ…ほ、本当に良いのか?」
「ここの家主は俺だ、その俺が『良し』っつってんだからよ」
途端にミラルーツの顔がパッと明るくなり
「ありがとうなのじゃ!、流石はガルム!、妾を倒した男じゃ~!」
「どわっ!?、ちょ、おい!」
体当たりの様な勢いで熱烈にハグされ、恥ずかしさで引き剥がそうとするも腕に力を込めてあまつさえ顔をグリグリ擦り付け喜びを表すミラルーツ。
が…
「………」
「…!」
意外とヤキモチ焼きなナヴィがその光景を黙って見ていられる訳もなく…また黒いオーラをガルムは感じ取り青ざめる。
すると…
「…るい…」
「…へ?」
「ミラルーツばっかりずるい~!!、私だってぇ~!!」
「あべしっ!?」
今度は逆方向からナヴィに抱き着かれ、挟まれたガルムは間抜けな悲鳴を上げた。
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