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「こらナヴィ放さぬか!?、ガルムが苦しがっておるぞ!?」
「私の方がガルムとず~~~っと一緒に居たんだもんっ!!」
「痛でっ!!、ぐぇっ!?」
それはいつの間にかガルムの引っ張り合いへと発展。
縫いぐるみの如く揉みくちゃにされ、風呂場でのトラブルにより募った苛立ちもあり遂にその堪忍袋の尾は限界を超えて…
『…!』
「……………お前ら……………」
まるで某地上最強の生物を彷彿とさせる様な周囲がグニャグニャ歪んで見える程の気に満ちた彼に、背筋に冷たいものを感じて二人は慌てて手を放す。
すると彼は無言でスッと立ち上がると、一体その場を離れて自室へ。
『…?』
「…」
暫くして戻って来た彼の右手には、何故かキレアジが一匹握られている。
怯えつつも何をするんだろうと二人が不思議がっていると、ガルムは…
「俺を好いてくれるのは良いんだが、少々度が過ぎるなぁ…?」
『…!!』
「二人とももう少し人の話を聞いて行動する事、もし次に先走る真似をしたら…」
流石元ヤンと言うべきかドスをたっぷり効かせた口調で告げ、キレアジを握る手を前に。
次 の 瞬 間。
「ダァッッッッッッッ」
『!!!??』
何処かで聞いた様な掛け声と共に繰り出された手刀は『シザァァァァァァァ!!』と分かる人には分かる風切り音を立ててまるで鋭利な刃物でそうしたかの如く、哀れなキレアジの首を切り飛ばす。
『…!!』
「…以上だ」
そんなパフォーマンスと共に主役の威厳と意地を見せ付けた彼はまた自室へ引っ込んで行く。
その後ろ姿に二人は抱き合いガクブルするしか無いのであった。
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