冬と言えば

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「じゃあ明かりを消す、それから食材を入れて少し煮てから順番通りにスタートだ、ジャスパー」 「ニャ、皆さんご武運を!」 そうしてDJの指示で部屋の明かりが消され、全員がコンロの火を頼りに鍋へ食材を投入していく。 やがて全員が入れたのを聞いて確かめてから、DJは鍋に蓋をして待つこと数分後。 「…そろそろ良いだろ、じゃあトップバッター、頼むぜ?」 「うむ、では…参る」 暗闇の中くじの順番通りに、まずはヒュウガが鍋に箸を入れる。 「…これにするでござる」 そうして適当に箸で摘んだ物を取り上げ、少し冷ましてから口に放り込むと… 「…む…?」 「おいどうした?、一発目から変なのに当たったか?」 「いや、これは…」 からかい気味にDJが問い、その食感からヒュウガが導き出した答えとは。 「…巾着、でござる」 「何だ、普通じゃねぇか?」 「…いや…待て」 しかし。 「…巾着の中に巾着、更にその中に巾着、また更にその中に巾着更に更にその中に巾着…ぬぅ、これ以上は小さ過ぎて良く分からぬでござる」 「あ、それ私が作った物ですね」 「センカ殿!?」 「どんだけ匠なんだよお前は」 センカはスキル『料理の匠+20』を会得した! それはさておき、二番手ことセンカの番。 「では、頂きます」 トップバッターと同じく暗闇の中探る様に箸を入れ、そして適当に掴み取り上げ冷ましてから口へ運ぶ。 すると… 「…うっ…」 『…?』 「…ううっ…!」 『!?』 何故か急に彼女が啜り泣く声が。 慌ててアルティスが側へ向かう。 「おい大丈夫か!?、そんな泣く程まずい物だった…?」 「…いえ…違うんです…寧ろ美味しいんです…只…只…っ!」 「…?」 「…何故か『共食い』をしてしまった様な罪悪感が沸いて…すみません…!」 (…あー、成る程) 彼女の小皿に乗っていた食材。 それは盾『蟹』のボウニクだったり。 (因みに入れたのはトップバッターな人だったりする)
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