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唇を重ね合う。糸を引いた睡液が床に垂れ、互いが互いを愛撫し合う。その一々に可愛いらしく反応してくれる少女が愛らしかった。
やっと、やっと……夢にまで見た少女が今、自分の目の前にいる。
幸せだった。愛する対象がちゃんと初めて形を成したのだから。
これ以上は何もいらないと思った。だって、愛花は今こんなにも幸せなのだから。それ以上を望むのは酷だと思った。でも駄目だった。
少女が欲しいと思った。少女の全てを自分の物にしてしまいたいと、そう思ってしまった。嫌、元々そう思っていたのかもしれない。だからあらかじめ用意した。用意しておいたのだ。少女が自分の元を訪れた際に少女を“自分だけの物”に出来る道具を。
だがそれも叶わなかった。愛花が求める少女が愛花だけの偶像と知ってしまったから。その時の絶望は果てしなかった。
だからせめて、自分だけを愛そうと、そう決めた。
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