23人が本棚に入れています
本棚に追加
「ようやっと気づいたか」
眞耶が「例え物質に触れられるからって透けた身体で覗きと悪戯以外に何が出来るっていうんだ……私の転生ライフ終わった……」とショックにうなだれていると、和傘を差した閻魔が小雨と共に上からふわりと降りてきた。
「何を落ち込んでおるのじゃぬしは。目が覚めたのなら早速移動するのじゃ。来い」
「……美男美女美男子美少女ロリショタと密にお近づきになりたかったなあ……でもそれももう……想定外だ……」
どうやら、身体が無いという事実にテンションが一気に下がっていた眞耶の耳には、閻魔の声が届いていないようだ。
下を俯いたまま、独り言を呟いていて一向に動き出す気配が無い。
(……縛って移動しても良いが……流石にそれはのう……手のかかる子じゃ。……そうじゃ、確かあれがまだ残っておったのう)
閻魔が懐から「ほれ。食せ」と言いながらつい先程食べていたのと同じ白色の飴玉を眞耶の視線の先に差し出した。
……塩味っすか……正直、食べたくないな……。
眞耶は顔をあげたものの閻魔の手にある飴玉を嫌がりなかなか取ろうとしなかったが、段々と雰囲気が黒く染まりはじめてきた閻魔の視線に圧されて渋々といった様子で飴玉を口に含んだ。
……あれ?
ミルクだ。
「好きじゃろ?」
「うん」
大好きなミルク味が口に広がることで少しテンションが回復した眞耶は機嫌よく飴玉を口内で転がす。
閻魔はその様子を見て、安心したように一つ息を吐いた。
「……あれ? ところで閻魔、いつからここに?」
「つい先程じゃ。本当はぬしと共にこちらに着く予定じゃったのじゃが……ちと、上に用があったのでの。到着が遅れてしまいすまなかった」
あれからしばらく。眞耶は閻魔と並んで木々の間を歩いていた。
どこに行くのか目的地を訊ねたら「川じゃ」とだけ返ってきた。
……閻魔……川……
……え。三途の川とかじゃないよね?
最初のコメントを投稿しよう!