転生は死亡フラグ

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「……ん……」  眞耶は、エレベーターが到着した時の様な一瞬内臓がふわりと浮き上がる感覚を受けて目を覚ました。 寝起きでぼやけた眼を頑張って見開き周りを見渡す。 「…………」  高く生い茂る木々に、空を飛ぶ四つ羽根のトンボのような生き物。 木の上には向こうじゃありえない青色の毛をした猫のような生き物までいる。 ……夢、じゃない……。 来れたんだ。 異世界に。  胸の底からふつふつと湧いてくる喜びに、思わず叫びそうになる。 眞耶はそれを必死で抑え込み、口を固く噤んだ。 待て待て待て……落ち着け私! こういう時は先ずあれだ! 現状把握! うん!  とりあえず容姿の確認をしようと思い、その為に水場を探そうと考えつき歩き出す。  もしかしたら異世界補正かかってるかも知れないしね! はた、とそこで違和感を感じた。 何時もなら感じる足の裏への感触。 それが無い。  ……ま、まさか。  眞耶の脳裏に嫌な考えが浮かぶ。 転生する前に好んで読んでいた小説。 主人公たちは一度死んでも転生すればちゃんと身体があった。 容姿はそのままであったり、変更されていたりと様々ではあるが身体はあった。  だから、当然自分もあるだろうと考えていた。  覚悟を決めて、自身の手を腕を足を胴を見る。  ……考えて、いたんだけどなあ。はは……。 手が腕が足が胴が不自然に透けて身体の向こうの景色を映していた。  ……ああもう……何故ですか閻魔様…………何故私には、身体が無いのですか?
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