ヒーロー

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 天才は日々進化する。マサカズ君は言った。  「俺に、不可能と言う2文字は無い」  はっきり言ってその言葉の意味は天才にしか解らないのだろう。だが、いつも明るいマサカズ君も肺に爆弾を抱えている。  そして、その導火線に油を注いでいるのも彼自身、そんな彼が今回選んだ職種は  「将来を担う子ども達のいる保育園」  天才は子供に人気だった。いつも「タバコ臭ぁ~い」と子供笑われているが、タバコの匂いをパパと感じる子供も多いようだ。  だが、天才マサカズ君の運命を変える出来事が起ころうとしていたとは、天才にもわからない。運命とは突然訪れる。  子供に大人気のマサカズ君は園長にも気に入られ、ママさん達、そう、それはマダム達にも人気間違い無しだった。  「マサカズ君!いつも娘の面倒有難う御座います!」  「いえいえ、娘さんにはまだ蒙古斑が有りますから僕の彼女には相応しくありませんよ!」  だが、マサカズには1人とても気になる園児がいる。  その男の子は1人で遊んでいて、他の園児は皆親が迎えに来て帰っていた。  「君、今日はずっと1人だったね、何で皆と遊ばないんだ?」  「だって…僕、ずっと1人だから…」  よし、それならこの天才マサカズ君が一緒に遊んであげようと調子に乗るマサカズ君。  遊んでは隠れて一服、遊んでは隠れて一服…マサカズ君は隠れてタバコを吸う事を覚えていた。  そしてその少年はマサカズ君と遊んでいるうちに笑うようになり、他の保母さんも驚きを隠せないでいた。  「さすが天才マサカズ君!」と園長も歓喜の涙を流す。そしてマサカズ君は呟く。  「見つけた…これが僕の天職だぜ!」
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