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「それに、上から目線で区別したけど、自分はどうなの?
自分は汚れてないとでも思ってるの?」
「…っそれは…」
耳まで赤くして口をパクパクさせる河野さん。
「…ククッ…
河野さんは綺麗な水にしか棲めない『人魚姫』だね。
人を惑わして船を沈没させる…ピッタリじゃない?」
「…私はそんな力持ってない!」
「本当に?本当にそう言える?」
「…私の所為じゃない…
…私は何も持ってない…何にも持ってないんだ…」
強く握りしめた拳が震え、大きな瞳いっぱいに涙を溜めて彼女が言う。
まるで自分に言い聞かすように。
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