猛暑が生んだ、夏の恋心(kn←kz)

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蝉が忙しなく鳴く、真夏の午後。 やる意味がいまいち分からない、午前中だけの学校から帰ってきた。 窓から差し込む太陽の光りが強すぎて、カーテンをしめる。 バッグを適当に椅子に置いて、力無くベッドに仰向けに寝転がると、さっき電源を入れたクーラーがごうんごうんと煩いくらいの大きな音と共に冷えた空気を出しを始めた。 まどろんだ、緩やかな白に包まれた自室は凄く落ち着く。 何も起こらない日々が続き、まるで去年の夏の出来事が嘘の様に感じられた。 去年は色々あった。 大婆ちゃんの誕生日をお祝いする為に陣内の実家に行ったら、お祝いするはずの大婆ちゃんは亡くなるし、詫助おじさんの作ったラブマシーンの処為でOZは大混乱、そして、健二さんに出会った。 健二さんと出会ったのも去年の夏。 最初は頼りないヒョロッとした奴だな、としか感じなかったし、どうとも思っていなかった。 夏希姉さんのフィアンセとして来て、親戚達に紹介されて。 そもそも出会いなんて、健二さんに話し掛けられて、それに応えるのが面倒で適当にトイレの行き方を教えてしまうくらい眼中になかった。 それなのに目で追ってしまう位、いつの間にか心の中で大きな存在になっていた健二さん。 真夏の暑い日が続くと思い出してしまう、去年の同じ時期、真夏に出会ったあの人の事を。 今もこの空の下に、あなたは何処かにいる。 猛暑が生んだ、夏の恋心 (多分、熱で頭がやられたんだ)
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