VS 近衛隊800人

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山崎グループ東ビル最上階、社長室。 紺色の絨毯に、黒で統一された大きなデスク。 そのデスクに両肘をつき、手を組んで顎を支えていたのは、山崎友康だった。 「さて‥‥そろそろ時間か‥。問題は無いか?」 「フン‥無い」 応えた男は、黒服にサングラスのフェンだった。 フェンはサングラスの淵から覗く目で山崎を見る。 「それより、金は用意できたのか?我々への」 山崎は手をひらりと返し、微笑を見せる。 「ああ問題無い。前回より弾もう」 「フン。それはいい」 フェンが満足そうに言い、腕を組み、体を翻して部屋から出ようとしたとき、 「お仲間はどうした?」 呼び止めるように山崎が言った。 「手下達はすでに配置した。あんたの近衛隊で片付けば、無駄骨だがな」 肩越しにフェンが言う。 すると、勝ち誇るような声が後ろから聞こえた。 「ハハハッ、お前達とまではいかないが、高い金を出して雇った者達だ。今回のパーティーには打って付けだろう」 「やられ役‥‥としてか?」 フェンは振り返り、嘲笑うように言った。 山崎は、うつむき、堪えるように笑っている。 「それは、ネイト怪盗団の役だろう‥‥ククク」 山崎は企んでいるような、下品な笑いをこぼす。 その姿は、とても非情で、好戦的な彼をそのまま表していた。 「みくびらないほうがいいと、何度も‥‥」 「分かっているさ‥‥!だが楽しいじゃないか。クハハハ」 フェンの話を遮り、山崎は高らかに笑う。 フェンはその山崎を終始哀れみの目で眺め、顔を正面に戻す。 やっていられないと呆れながら、鼻で笑った。 「‥‥フン。だから見くびるなといっている‥‥。 ――なんせ相手はあの、‐神纏(カミマトイ)ノ三天才‐の一人、“神童”なんだからな」 独り言のように呟いたあと、静かに部屋をあとにした。
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