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「でも、俺の知るかぎりあの人にしかできない事ですから。警察幹部にも顔のきく人ですからね。“豪腕”の名は伊達ではないですよ」
高来もそう思う。
確かにそんなことができるのは警部だけだろうと。
だが気になることがあった。
「‥‥‥そのために警察に入って、松岡警部に近寄ったの?」
高来は少し声のトーンを下げていった。
「‥‥松岡警部のことは、警察に入る前から知っていました。確かに警察官になった理由はそれです」
先ほどとは違い、真剣な顔で話しだす。
だがすぐに、いつもの緊張感のない顔に戻る。
「でも、松岡警部は、俺が警部の事を知るよりも、ずっと前から俺のことを知っていたようですよ」
「え‥‥?」
高来は豹を付かれて、一歩後退する。
「というのも、俺達の師であるじいやと松岡警部は旧友なんです」
「‥‥そうなの?」
ネイトは頷く。
そして突如、ロアの声が響く。
「大変だよネイト!侵入者!」
カタカタとパソコンに打ち込みながら、監視カメラの映像の映る画面を指差す。
「タイミングが悪いな」
ネイトが苦笑いしながら言う。
「ロア、これ場所は?」
フォルニーアがロアの横まで来て言う。
「O-CD地点、敵は八人‥‥たぶんこの前のヤクザの残党じゃないかな?」
「どうしたの!?」
高来が何が起こったのかわからず、焦りの表情で言う。
「侵入者です。仕事柄、敵が多いので‥‥」
ネイトは、あわてている高来とは打って変わって冷静な声で返す。
「ネイト、行くぞ」
「わかってるよクローゼ」
「レティン起きろ!」
あれだけ騒いでもぴくりともしないレティンを叩き起こそうとしたのはクローゼだった。
「‥‥‥」
だがレティンは応えない。
「いつまでシカトしてんだ!」
その声とともに手刀を振り落とす。
それは寝ているレティンの頭に垂直にあたり、鈍い音を出した。
「いた‥‥‥!」
「いた‥‥じゃねぇ!行くぞ」
「‥‥‥わかりました」
いかにもやる気のない声でレティンは応え、きゅうりの野菜スティックを咥えてクローゼのあとに続いた。
「ロアとフォルさん、それに高来先輩もここをお願いします」
ネイトは奥の出入口に向かいながら振り返っていった。
そのネイトに続きクローゼとレティンも出ていった。
「はいよ。しくじんじゃないよ」
ネイトは少しにっと笑って出ていった。
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