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高来、フォルニーアがアジトをあとにしたあと、空は曇天になった。
薄暗い外に出たネイトをクローゼが追い、話し掛けた。
「ネイト‥」
ネイトは壁にもたれ、開きかけたケータイを閉じ、クローゼに向き直る。
「なんだ?」
「お前、何か隠してるだろ?」
「‥‥作戦の事か?」
「いや、それもそうだが、今聞きたいのはそれじゃない」
クローゼは腕を組み、真剣な目でネイトを見る。
ネイトもそれに答えるように、整った容姿で横目を向ける。
「高来の事だ」
ネイトはフッと笑った。
さっきフォルニーアに見せたのと同じ、やっぱりな、という笑顔だ。
「お前、高来をフォルさんのところに匿う理由を-怪盗に手を貸したから危ない-とか言ってたが、本当はそうじゃないだろ?」
クローゼは真っ直ぐにネイトを見据え、落ち着いた声音で言う。
海岸添いの、薄暗いアジトの前で話す二人に、少し肌寒い風が吹く。
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