裏切り者と始まりの月夜

9/16
前へ
/120ページ
次へ
レティンが銃に目を戻しそう言うと、クローゼも目線を外す。 「お前‥‥言葉の意味わかってる?なんで断定系なんだ?」 「‥‥?」 レティンはまたクローゼを見て、コクンと首を傾げた。 視線の先にいたクローゼは何故か少し悲しく見える。 レティンはぼそっと思いついたことを言ってみた。 「‥‥フォルニーアさんですか?」 するとクローゼはおもいっきり顔をしかめ、レティンを非難の目で見る。 「どういう思考回路でそうなるんだよ‥‥違ぇよ」 何故かレティンはさらに呟く。 「じゃあ‥‥ネイトさんですか?」 クローゼは更に顔をしかめる。 「ぶん殴るぞレティン」 「‥‥?」 レティンは真面目な顔でまた首を傾げる。 そして、少し考え‥。 「では‥‥ロア‥」 クローゼが怒鳴りあげて遮る。 「何で途中から俺は男好きになってんだっ!ああ!?本当にテメェの思考回路は食物繊維で出来てんのかっ!?」 するとレティンはまたも真面目な表情で、宥めるように言う。 「あ‥‥いえ、クローゼさんは女性恐怖症だったなと、思い出したので‥‥」 「意味がちげぇんだよ‥‥!」 ――まるでコントだな‥‥。 少し離れたデスクから様子を眺めていたネイトはそう思った。
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加