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山崎グループ東ビル最上階、社長室。
紺色の絨毯に、黒で統一された大きなデスク。
そのデスクに両肘をつき、手を組んで顎を支えていたのは、山崎友康だった。
「さて‥‥そろそろ時間か‥。問題は無いか?」
「フン‥無い」
応えた男は、黒服にサングラスのフェンだった。
フェンはサングラスの淵から覗く目で山崎を見る。
「それより、金は用意できたのか?我々への」
山崎は手をひらりと返し、微笑を見せる。
「ああ問題無い。前回より弾もう」
「フン。それはいい」
フェンが満足そうに言い、腕を組み、体を翻して部屋から出ようとしたとき、
「お仲間はどうした?」
呼び止めるように山崎が言った。
「手下達はすでに配置した。あんたの近衛隊で片付けば、無駄骨だがな」
肩越しにフェンが言う。
すると、勝ち誇るような声が後ろから聞こえた。
「ハハハッ、お前達とまではいかないが、高い金を出して雇った者達だ。今回のパーティーには打って付けだろう」
「やられ役‥‥としてか?」
フェンは振り返り、嘲笑うように言った。
山崎は、うつむき、堪えるように笑っている。
「それは、ネイト怪盗団の役だろう‥‥ククク」
山崎は企んでいるような、下品な笑いをこぼす。
その姿は、とても非情で、好戦的な彼をそのまま表していた。
「みくびらないほうがいいと、何度も‥‥」
「分かっているさ‥‥!だが楽しいじゃないか。クハハハ」
フェンの話を遮り、山崎は高らかに笑う。
フェンはその山崎を終始哀れみの目で眺め、顔を正面に戻す。
やっていられないと呆れながら、鼻で笑った。
「‥‥フン。だから見くびるなといっている‥‥。
――なんせ相手はあの、‐神纏(カミマトイ)ノ三天才‐の一人、“神童”なんだからな」
独り言のように呟いたあと、静かに部屋をあとにした。
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