VS 近衛隊800人

3/16
前へ
/120ページ
次へ
深夜三時、新月の闇夜が、山崎グループビルを包んでいた。 このビルは黒いフォルムのツインタワーで、中腹と、最上階辺りにアーチがあり二つのビルを繋げていた。 「‥‥寒気がする」 ネイトがつぶやく。 [‥‥僕もします] 無線越しに、レティンが相槌を打つ。 [そうか?涼しいし、ちょうどいいけどな] 次に無線から声がしたのはクローゼだった。 ネイト、高来、フォルニーアの三人は、山崎グループ西側ビルの非常用裏口の前に、 無線の向こうでは、クローゼ、レティンの二人が、東側ビル正面玄関で任務開始を待っていた。 「いや‥そうじゃなくて、なんか噂されてるような」 少し暗い声音でネイトが言と、 [‥‥‥僕は普通に寒いです] レティンがぽつりと呟く。 季節は冬に入り、レティンの言うとおり、吐く息が白くなるほどに東京の夜は冷え込んでいた。 そんな中で、パーカー二枚に、ウインドブレイカーを重ね着したレティンと、タンクトップ一枚のクローゼは、お互いの服装を眺めながら、言い争っていた。 [寒いってその格好でか] [はい‥‥。クローゼさん。よくそんな格好で生きてますね] [お前に言われたくはない] [僕は季節的に普通だと思うんですが‥‥] [七月から同じ格好しててもか?つか季節的の前に、ファッションとして少しおかしくねぇか?] 気の抜けた話をする二人に、嫌気のさしたフォルニーアがコートの襟に付いた無線をカチッと鳴らし、無線で話す二人に言う。 「おい。わざわざ無線で与太話をするな。クローゼ、レティン」 すると、カチッという音とともに二人の声は途絶えた。
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加