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「‥‥そういえば、山崎友康ってどんな人物なの?」
場違いとは思いながらも、高来は聞いた。
答えてくれたのはネイトではなくフォルニーアだった。
「ネイトにはもう言ったが、ターゲットの山崎友康はかなり慎重な男だ。私の知人に、この会社の上役達がいるんだけど、彼の顔さえ知らないと言っていた」
高来は眼をむいた。
ちょっと待って。
“知人にこの会社の上役達”!?
一人なら未だしも、達?
山崎の詳細よりも、そっちに気がもっていかれた。
どれだけ顔が広いんだフォルニーアというこの人‥‥。
始めから、怪盗団というものがかなり現実離れした集団だとは思っていたものの、その中で一番まともな人物に思えたフォルニーアすらも少し異質の人間らしい。
そんなふうに高来がフォルニーアの話を、しかめっ面で聞いていたとき。
「会社の悪業がばれた時、自分だけは助かるためにというわけか‥‥」
今までとはまるで違う、暗い声でネイトが言った。
高来は思わずドキッとして顔を上げた。
前を歩くネイトの背中は、まるで、黒いオーラをまとっているように見えた。
ネイトは歩みを止めず進んでいく。
「‥‥非道な奴だ。金のためなら会社も人の命も犠牲にする。だか社員達は、この会社の社長の顔も知らなければ、その悪業も知らない?そんな奴のために‥‥」
ネイトの言葉の裏に、何かとてつもない殺意のようなものを高来は感じ、だからこそ、高来は平然を装い、質問した。
「‥‥企業幹部連続殺人も‥山崎の仕業‥?」
「もちろんです、ちなみに、それを実行したのは、山崎が近衛隊以外に雇ったあるスペシャリスト集団らしいですが」
ネイトが振り替える。
その表情は、いつもとかわらない楽しんでいる表情で、高来は少し安堵した。
ただ、高来はネイトのその時の様子に、少し疑問が残った。
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