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「よし、二人とも、上に行きますよ」
「山崎友康のいる部屋か?」
「いえ、まずは近衛隊に司令を出している司令室に」
ネイトはそういうとエレベーターの上りのボタンに手を掛ける。
「エレベーター?」
「エレベーターで行くの?」
フォルニーアと高来はすかさず聞いた。
「早いじゃないですか、この方が」
ネイトがつんつんとエレベーターを指差し、言った。
「一般客か私達は‥‥」
フォルニーアが冷たい眼で突っ込んだが、ネイト動じない。
「止まってるんじゃ‥?」
「止まっているのなら動かせばいいだけです。なぁ、ロア」
[へへへ、ま・か・せ・な・さいっ]
ネイト達三人が司令室に向かっている時、三十階のエレベーターホールでは‥‥。
[こちら中央司令室、異常はあるか?]
司令室からの無線を受けたのは、巡回中の部隊五名で、ちょうどエレベーターホールの辺りに来ていた。
「異常無し、引き続き巡回する。‥‥」
部隊長である男が無線にそう答えたが、六つのエレベーターのうち、一つが動いていることに気付き、少しあわてて訂正する。
「いやまて‥‥エレベーターが動いているぞ!」
[なに!?エレベーターは全て止めたはずだぞ]
「いや一つだけ動いている。この階で止まる‥‥!」
その一言で、五人全員が身構える。
二人が銃を向け、残りがナイフを持つ。
[注意しろ、奴らかもしれん。情報では“怪盗”はかなりの強者らしい]
「‥‥くっ‥」
緊張感が漂う中、エレベーターの位置を示す光が止まるとチィンと音がなり、そして重々しく扉が開き、全員が身を乗り出す。
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