さよならの準備はもう出来ていた。

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自分から別れを切り出す 勇気なんてなくて、 でもこんな関係 終わらせるべきなのはわかってた。 だから、 ずっと前から 【さよならの準備はもう出来ていた。】 「……もう、来なくていいから。こんな関係終わらせよう」 情事後、いつものように気だるい身体をベッドに横たえて彼の背中を見つめてるときだった。 急に告げられた、別れの言葉。 「え…?なん、で?」 みっともないぐらい声が震えて、でも気づかれないようにグッと喉に力を入れる。 けれど彼はそんな俺の努力に全く気づいてないみたいで、サラリと残酷な答えを紡ぎ出した。 「智久と付き合い始めたから」 〝智久〟 初め俺はそれが誰なのか理解できなかった。 普通に考えて智久と言えば山Pこと山下智久なのだが、誰も彼のことを〝智久〟だなんて呼ぶ人はいない。 もちろん俺も。〝親友〟である俺でさえも智久なんて呼ばない。 だから一瞬それが誰なのか理解できなかったのだ。 そして、その名前を理解した途端、頭の中に様々な疑問が渦巻き始めた。 どうしてぴぃは俺にそのことを言ってくれなかったの?? どうしてよりによって俺の親友なんかと付き合うんだ。 どうして、どうして…… 俺の脳内はそんな疑問でいっぱいだった。 いくら自問自答しても答えなんて出るはずない。 「……まぁ、そうゆうことだから…。これからはお互い良い仕事仲間としてやっていこう」 かめは黙り込んでいる俺を少しバツが悪そうにちらっと見て、タバコに火を着けながらぽつりと呟いた。 .
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