離れた手

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どうしてあの時 素直になれなかったのだろう。 浮かんでくるのは 〝後悔〟ばかり……。 【離れた手】 きっかけは、ほんの些細なことだった。 ただその日はなんだかお互い苛ついていて、普段は何でもないようなことが妙に気に触って。 気がついたら大喧嘩になっていた。 「……もうお前の我が侭には付き合いきれない、」 バタン そう吐き捨てて部屋を出ていった恋人にも、その時は何も感じなくて。 喧嘩をしても先に謝るのはいつもアイツからだったから、この時も次の日になれば何事もなかったように過ごせると……そう思っていたんだ。 しかし、 翌朝目が覚めてケータイをチェックしても、かめからの電話は愚か、メールさえ入っていなかった。 俺から連絡を取ればそれで済むのに、俺にはそれが出来なくて。 ただただ待ち続けるだけ。 けれどいま思うと、意地なんか張ってないで、さっさと連絡を取ればよかったのにと後悔している。 ねぇ かめ……。 この時素直になっていれば、俺たちの運命は変わっていたの? それとも今と変わらなかったのかな? .
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