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目が覚めた。
私専用に作られた時計に触れてみると、今がちょうど5時半だとわかった。
私の部屋から少し遠いところで、ばたばたと人が走り回っている音が聞こえる。
あの辺りは厨房だ。
料理人さんたちが、今日も美味しい朝ごはんを作ってくれているのだろう。
私はベッドから足だけをおろして、ベッドの側に置いてあるはずの小さなテーブルをまさぐる。
時折、舌で音を立てながらテーブルの場所を確認した。
テーブルの上に置かれた、柔らかな手触りのリボンを取り上げる。
いつもならフェイに着けてもらうけれど、今日はまだフェイが来ていない。
リボンをしっかりと広げて、普通は「目」というものがある場所にあてる。
頭の後ろの方で軽く結んで、いつもの私の出来上がり。
コツコツ
「アルメリア様、入りますよ」
フェイの声だ。
私はわざと布団を被って、寝ているふりをした。
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