旅人~序章~

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きぃ、ぱたん。 フェイが部屋に入ってきた。 いつものように、私を起こそうとする。 「アルメリア様、朝ですよ……ん?」 フェイが不思議そうな声を上げた。 何だかおかしくて、私はくすくすと笑う。 いつもなら私はすぐに起きないけれど、今日はしっかり自分で起きられた。 でも、フェイにいじわるがしたくて、私は布団の中でむくれたふりをする。 「メリィって呼ばないと起きないから。フェイディアス」 「フェイと呼んでください、メリィ様」 少し困ったような声音で、フェイが呟いた。 私はそれで満足して、布団をどかす。 「わかった、行こう。おなか減っちゃった」 「今日は自分でリボンをつけましたね」 「いつまでもフェイに頼っていられないでしょう?」 私より随分高い位置にあるフェイの顔を見上げて、私はにこりと笑う。 フェイが肩を竦めた気配がして、私はまたくすくすと笑った。 「朝食を頂いたら、客間へ行きましょう。メリィ様にお客様です」 「……私に?」
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