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「金谷くん♪」
その日の帰り。
帰る準備をしていると名前を呼ばれた。
誰かと思えば。
「六井サン」
笑顔で俺を見つめる彼女。
「どしたの?」
手を止めずに問い掛ける。
「一応、付き合ってるんだし一緒に帰ろうよ♪」
ドキッ
まじかよ。
まじでこれはあれよ。
俺の憧れのひとつ。
彼女と一緒に帰る。
俺は迷わず、「うんっ」と答えた。
それに六井サンがふふっと笑った。
「じゃあ玄関で待ってるね。急がなくても大丈夫だから♪じゃあ」
まだ帰る支度の出来ていない俺に気を使ってくれたのか六井サンはそう言って教室を出ていった。
彼女が教室から出ていくのを確認すると、今まで我慢していた喜びが一気に溢れ出た。
「いやっほ~!!」
教室にいる奴らが俺のことを危ない奴を見る目で見てくるが気にしない。
何か、周りなんてどうでもいいくらい嬉しさでいっぱい。
なんでこんな小さなこと……好きでもない彼女と一緒に帰れるだけで喜んでんだろ。
前からの憧れだったからか?
もしかしたら、もしかすると。
六井サンのことを本気で好きになれるかもしれないなあ♪♪
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