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「もう、嫌だ。」
―僕はヘッドホンを外してそう呟いた。
夜のレコーディングスタジオの中でぽつりと。
何度も何度も歌い、何度も何度も繰り返す曲。
嫌になった。疲れた。
何のために歌うのかわからないのに、歌う必要はあるの?
僕は目の前で一緒に歌っている女の子を見た。
女の子は僕の視線に気付かず、必死に曲を聞いている。
―君は何のために歌うの?
僕は小さな声で呟いた。
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