1人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
Vol.1
私がダーリンと暮らし始めたのは数年前。
どちらかというと、彼の住んでいる家 兼 アトリエに私が転がり込んだ形で始まった。
彼の家は郊外の山の近く。
自然がまだまだ残っている場所だ。
温泉だって近くにある。
なんていい所なんだ!と、最初は思った。
でも私は都会生まれの都会育ち。
最初は旅の長期版みたいだったけれど、やっぱり暮らすとなると不便なことは多い。
しかも私は、大の虫嫌い。
夏の間など、見たこともない虫達に出会えた、という感動はなく、毎日が 涙 涙 の連続だ。
だいたい、ムカデなどとは一生出合うことはないと思っていたけれど、家の中をあの巨大なムシにたくさんの足を使って闊歩されると、見捨てておく訳には行かない。。。
あの虫は、刺したりして、危険なのだ。。。
小学生の頃、私は「シートン動物記」が大好きで、何度も何度も読み返していた。
あまりに何度も読み返しすぎて、さすがに飽きたのでそろそろ違うものを、と選んだのが「ファーブル昆虫記」だった。
私にとって、なんだか2大シリーズみたいで、小学生としてこの2つはマストで読まなければいけないもの的に思っていたから、いざ読まん!と、勢い込んで読みはじめたけれど、確か第一章の「ふんころがし」のところで早くも断念した。
自分は昆虫には向かないのだ、と思い知ったのだった。
そういえば、最近、サッカーのワールドカップアフリカ大会で、糞ころがしのマスコットが出てきていた。
懐かしかったなぁ。
アフリカでは大地を豊かにしてくれる大切な虫なのだそうだ。
そんな虫に怯えるの毎日でも、日暮しの声が聞こえると、ここに住んで良かった~という気持ちになる。
朝と夕に聞く日暮しは、涼しげだし、幽玄さを感じさせる。
最初のコメントを投稿しよう!