Vol.1

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Vol.1

私がダーリンと暮らし始めたのは数年前。 どちらかというと、彼の住んでいる家 兼 アトリエに私が転がり込んだ形で始まった。 彼の家は郊外の山の近く。 自然がまだまだ残っている場所だ。 温泉だって近くにある。 なんていい所なんだ!と、最初は思った。 でも私は都会生まれの都会育ち。 最初は旅の長期版みたいだったけれど、やっぱり暮らすとなると不便なことは多い。 しかも私は、大の虫嫌い。 夏の間など、見たこともない虫達に出会えた、という感動はなく、毎日が 涙 涙 の連続だ。 だいたい、ムカデなどとは一生出合うことはないと思っていたけれど、家の中をあの巨大なムシにたくさんの足を使って闊歩されると、見捨てておく訳には行かない。。。 あの虫は、刺したりして、危険なのだ。。。 小学生の頃、私は「シートン動物記」が大好きで、何度も何度も読み返していた。 あまりに何度も読み返しすぎて、さすがに飽きたのでそろそろ違うものを、と選んだのが「ファーブル昆虫記」だった。 私にとって、なんだか2大シリーズみたいで、小学生としてこの2つはマストで読まなければいけないもの的に思っていたから、いざ読まん!と、勢い込んで読みはじめたけれど、確か第一章の「ふんころがし」のところで早くも断念した。  自分は昆虫には向かないのだ、と思い知ったのだった。 そういえば、最近、サッカーのワールドカップアフリカ大会で、糞ころがしのマスコットが出てきていた。 懐かしかったなぁ。 アフリカでは大地を豊かにしてくれる大切な虫なのだそうだ。 そんな虫に怯えるの毎日でも、日暮しの声が聞こえると、ここに住んで良かった~という気持ちになる。 朝と夕に聞く日暮しは、涼しげだし、幽玄さを感じさせる。
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