Vol.3

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Vol.3

彼の同業の友人に、源さんという人がいる。 右近源太郎。 彼もそこそこの画家だけれど、事業家だ。 アトリエも幾つか持っているし、絵画塾なんかも開いている。 だから、個展をするときなんかは、お世話になったりもする。 源さんの作品は、ダーリンのとは違って、より華やかだ。 テーマ自体は似ているけれど、一番違うところは、ダーリンのはラインが基調になっていて静かなカンジなのだが、源さんのは、暗いテーマでも華やかなテーマでも、とにかく賑やかだ。 なんか、これって、人そのものを表しているかもしれない! 源さんはとにかく、賑やかな人なのだ。そして、よく誤解を受ける。 とっても繊細な人なのだけれど、賑やかな印象があるから、とても強い人のように思われるのかもしれない。 でも、立ち直りも早いみたいだから、あまり心配もしないけれど。 この間、源さんがお中元を持ってきてくれた。 ダーリンはそういうことには無頓着な人なのだが。 このあたりでも、源さんは気配りも忘れない事業家なのだろう。 源さんが来ると、絵を勉強している人達の話題が良く上る。  絵やアートだけで食べていくのって本当に大変なようだ。 大学に行ってもなかなか自分の絵や作品を認めてはもらえられないらしい。 大変なんだ。 源さんとダーリンも以前、食べ物のことでバトルがあったようだ。 売れない頃の話かな。 詳細は教えてくれないけれど。 ところで、源さんは、家でも犬とかを飼っているから、うちの他の家族の受けもいい。 大地は源さんがくると、必ずひざにのって愛想をふりまくし、ブリリンも嫌いじゃないようだ。 媚は売らないけれど。 でも源さんのお気に入りはゲンタで、いつも何か食べるものをあげて喜んでみている。 名前が似ているからか。。。
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