参『』

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それから広間には、優しげな目をした眼鏡の男とこの面子の中では恐らく最年長と思われる色の浅黒い男とが一緒に入ってきた。 男二人は真琴の姿に少し驚いたような様子を見せたが、藤堂のように露骨な反応を見せることはなかった。 近藤は初めから、この朝食の席で真琴のことを紹介するつもりでいた。 食客達は出るも入るも自由なため、時期によっては道場で見られる顔触れも異なったりする。 ここにいない者達には後ほど訳を説明すればいい。 「さ、自己紹介を」 近藤に促されて、真琴は居住まいを正した。 「これから試衛館道場にてお世話になることとなりました、桜木真琴と申します。どうぞよろしくお願いいたします」 一礼を済ませて顔を上げると、小さな拍手が起こった。皆、歓迎してくれているのだ。 中でも藤堂は相当なはしゃぎようだった。 自分と年の近い少女で、おまけに美人ときた。藤堂くらいの年頃の若者なら、当然見せる反応だろう。 「俺は藤堂平助!で、こっちの眼鏡の人はサンナンさん、あっちの色の黒い人が源さんな!」 少年のように上気させて、勢い余って人の事まで紹介する。 愛称で呼ばれた二人の男は苦笑しながら、遅れて本名を名乗った。 山南敬助と井上源三郎。二人とも後の新選組幹部となる男である。 知った名前に、懐かしさにも似た複雑な感情を覚えた。 「では、新たに仲間も増えたことだし、今日もしっかり飯を食って頑張るぞ!」 近藤が音頭を取ると、沖田が待ってましたとばかりにがっつき始める。それを横目に見た土方は「喉に詰まるだろう」と言って呆れた様子だ。 男だらけで賑やかなこの食事風景は、真琴にとってはとても新鮮なものだった。
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