2.君との出会い

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家族や友人に褒められるのとは訳が違う。 少なくとも彼女とは今まで全く面識が無く、偶然ここを通り掛かり、初めて聴く俺の歌を、いいと思い足を止めてくれたのだ。 それがどれ程に嬉しいことか。 きっと、ストリートで歌ってるやつにしか分からないと思う。 「えっと…夏色だっけ?いいよ、歌う」 二つ返事で俺はOKした。 「いーの?わーいっ」 そう言って彼女は嬉しそうに笑った。 その時ふと彼女を見ていて、おもちゃみたいだな…と思った。 クルクル表情が変わって見ていて飽きないし、彼女の笑顔を見ていると、こっちまで明るくて楽しい気分になる。 こんな不思議な力を持った女の子に出会ったのは初めてだった。 それにしても、ついこの間振られたばかりだというのに 目の前に現れたばかりの女の子に興味を抱いている自分の神経には、我ながら呆れてしまう。 ついさっきまで、その子の事を思い出して、感傷に浸っていたというのに。 ギターを鳴らし、歌い始めると、彼女は俺のすぐ前にちょこんとしゃがみこみ、目を閉じて俺の歌に聴き入っていた。 時々体を揺すり、リズムを取りながら、歌い終わるまで静かに聴いてくれた。 自分の歌をここまで真剣に聴いてくれる人は初めてで、嬉しくなり調子に乗った俺は、今歌える歌を次々と彼女の為に歌った。
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