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嘘だろ…!?今週も来てるよ…。
あれから後のことだ。
俺は約束通りに毎週水曜は、沙雪との約束通りにここ、駅前に歌いに行くようになったのだが。
すぐに飽きて聴きに来なくなるだろうとタカをくくっていた俺の予想をあっさり裏切って
日野沙雪は毎週、大体決まった時間にこの場所に現れた。
雨の日も晴れの日も風の日も。
時には、凍えそうな大雪の日に、体を震わせながら待っていることすらあった。
まさか今日はいないだろうと、様子を見る為にだけその場所に行った俺は呆れたものだった。
そんな事がもう1ヶ月近く続いている。
今日はさすがにもう来ないだろうという俺の予想をまたしてもあっさりと裏切り
大体いつも俺が歌っている所で、寒さに震え、手に息を吹きかけながら、俺が着くのを今か今かと待っている沙雪が視界に入る。
近くに歩み寄る俺に気付くと、満面の笑みで迎えてくれた。
「毎週毎週、よくもまぁ飽きもせずに来れるもんだね」
どっかりと腰を卸すと、吐き捨てるように言った。
「どうして?」
「俺なんかの歌、聴いてたって面白くもなんともないだろ?」
投げやりに俺は言う。
いつもならこんな愚痴、誰にも言ったりしないのだが、今日学校であったことで少しイライラしていた。
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