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なんだ…このオンナ…。
「いや…いつもって訳じゃないけど…たまに…」
おずおずと答える。
するとその少女は突然とんでもないことを言い出した。
「もっと聴きたいなー。あっゆずの夏色歌って!私あの歌大好き!!」
「は?」
季節は冬真っ盛りですが…。
困惑気味の俺の態度を察したのか、慌てたように彼女が言う。
「あっ…あのね、決して私怪しいもんじゃないの!あなたの歌が気に入って、お客として聴きたいって言ってるだけだから!」
「客…?」
今まで1人で歌って来て、自分の歌を立ち止まって聴いてくれる人が現れるなんて思いもしなかった俺は、嬉しさと驚きの入り混じった思いで彼女を見つめた。
なんだか信じられない。
誰かの心に響く歌を歌うことが目標ではあったのだけど、こんなに早くその夢が実現するなんて思いもしなかったのだ。
「そう、お客」
そう言って微笑む彼女とまともに目が合う。
その時初めて、目の前の女の子がとんでもなく綺麗な顔をしていることに気付いた。
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